輸入経費と原価の計算方法を紹介!勘定科目・消費税について

輸入経費と原価の計算方法を紹介!勘定科目・消費税について

海外から物を仕入れる輸入は日本において古くから身近な存在です。
古代には九州地方が朝鮮半島から鉄や青銅の輸入、中世には中国から陶磁器や銅貨などの輸入、鎖国を行ってた江戸時代ですら出島などの特定地域で輸入を行っていました。
現代においても2度の世界大戦を経てなお世界中から輸入が行われております。

輸入には単純な商品の代金のやり取りだけではなく、取引に付随して費用が掛かります。
今回はその輸入経費と計算方法について深掘りをしてまいります。

関税と計算方法

関税と計算方法

税関の役割は関税、酒税、消費税等国税の徴収及び不正な貿易の取り締まりです。
適正な申告を可能とする納税環境の整備を行い、常に情報を提供します。

薬物や銃器など社会の安心安全にかかわる密輸出入を水際で取り締まり貿易の秩序維持と健全な発展のために適正な通関を確保しています。

そんな税関での手続き中の商品はどこに保管されるのでしょうか?
船舶や航空機にいつまでも積んでおくわけにはいきません。

空港や港の近くには一時的に関税の徴収が保留された貨物を保管するための保税地域が存在します。
その中に倉庫として保税倉庫がありますのでそこで保管するのが一般的です。

保税倉庫にある間は外国貨物として扱われ国税の支払は不要です。
保税倉庫から国内に持ち込むためには国税を支払ってから行う必要があります。

保税倉庫を利用する主なメリットは安全に保管ができ検品を行うことで確認された不良品等に対して国税を払わずに返送や破棄等が可能で有ることです。他にも保税地域で簡単な加工や見本の展示を行うことも可能です。
しかも外国貨物のまま転売することも可能で、国税を支払わずに取引ができる大きなメリットを得ることが可能です。

輸入消費税、フォワーダーの消費税

輸入消費税、フォワーダーの消費税

仕入先(輸入先)に対して消費税の支払は不要ですが、日本国内で消費する場合、税関に対して輸入消費税の支払が必要です。

支払うのは保税地域から引き取る者、つまり輸入申告者で通関業務を委託されるフォワーダー(貨物利用運送事業者)や乙仲(海運貨物取扱業者)は建て替えることがあっても最終的な支払者ではありません。

また輸入消費税以外にもフォワーダー等からの請求項目の中に課税項目が存在します。
それは手数料といった「役務の提供」やディテンション(コンテナ使用の超過料金)といった「指定保税地域外で発生する費用」が課税対象となります。

補足として関税や保険料以外のフォワーダーから請求される費用の一部をご紹介します。

  • 運賃…貨物運賃等運送の費用
  • THC(ターミナル・ハンドリング・チャージ)…コンテナの取扱い費用
  • CFS(コンテナ・フレイト・ステーション)チャージ…混載コンテナから輸入貨物を取り出す費用                            
  • D/Oフィー(デリバリー・オーダー・フィー)…Docフィーとも呼ばれる、荷渡指図書発行費用
  • 輸入取扱料…重量に関係なく一律で決められている取り扱い費用
  • 内容点検料…必要に報じて発生する貨物の検査により生じた費用
  • 法令申請…法令に沿って輸入承認申請が必要な輸入に関する費用
  • 保管料…期限を超えて保税地域に貨物を保管する場合の費用
  • 税関検査料…検査発生時の立会料、検査場への輸送料、その他作業費用
  • 国内配送料…保税地域から指定場所への輸送費用

以上ですが、課税非課税の詳細は取引業者へご確認ください。

輸入経費を原価に

以上、輸入に際して様々な費用が発生することをご説明しました。
仕入金額だけを原価とした場合、発生している費用は輸入者が負担することになってしまいます。

そのため。輸入仕入原価には、船舶や航空機の輸送料、保税倉庫などへの一時保管料、通関料などの輸入諸掛、保険料や送金手数料などを含めます

輸入貨物は、一般的にB/L(船荷証券)単位で取引をされており、輸入申告も同様です。
そのため、輸入経費はB/L単位で発生するため、基準となる数量や金額をもとに比率を算出しそれに応じて輸入経費の金額を割り振る按分を行って商品毎の原価(在庫単価)を算出します。

例)B/Lに対する仕入商品が2つ、商品A(単価10ドル、数量50個)と商品B(単価12ドル、数量20個)で、数量按分したい輸入経費Aが14,000円、金額按分をしたい輸入経費Bが9,657円で計上レート145円の場合。

商品Aの原価(在庫単価)は1,780.5円、商品Bの原価(在庫単価)2,096.6円です。
商品A 10ドル×145(計上レート)=1,450円(円転単価) 
    1,450円×50個=72,500円(円転金額)
商品B 12ドル×145(計上レート)=1,740円(円転単価) 
1,740円×20個=34,800円(円転金額)

輸入経費A 14,000円÷70個=200円(数量按分による単価)
輸入経費B   9,657円÷107,300円=0.09(1円当たりの輸入経費の値)
72,500円×0.09÷50=130.5円(商品Aに対する金額按分による単価)
 34,800円×0.09÷20=156.6円(商品Bに対する金額按分による単価)

商品Aの原価(在庫単価) 1,450円+200円+130.5円=1,780.5円
商品Bの原価(在庫単価) 1,740円+200円+156.6円=2,096.6円
ちなみに輸入経費はインコタームズ(国際貿易取引条件)によって変わります。

例えば工場渡し(EXW)の場合は「輸出国内の諸費用」、「海上運賃」、「保険料」、「関税や酒税」、「消費税」、「輸入国内の諸経費」がかかります。

また運賃保険料込み条件(CIF)の場合は「関税や酒税」、「消費税」、「輸入国内の諸経費」がかかります。
取引条件によって高額な輸入経費が掛かる場合もありますので仕入単価の高い安いだけではなくインコタームズも注意深く確認が必要です。

輸入経費の勘定科目

商品代金だけでなく、送料、保険料、関税、通関手数料などの勘定項目は、全て「仕入、仕入高」とすることが多いです。
ただし、消費税は会計処理の仕方によって勘定項目が異なる可能性があります。

税抜処理なら「仮払消費税」、税込処理なら「仕入、仕入高」とする感じで、自社の処理方法に合わせて仕訳の起票が必要です。また、運送費等を自社で建て替えて取引先が最終的に負担をするような場合勘定科目は買替金もしくは立替金で処理をすることが多いです。

余談ですが、商品代金、送料、保険料、関税、通関手数料は会計上、棚卸資産の金額の一部に含まれますが、輸入消費税は含まれません。

つまり、輸入消費税は原価に含めずに資産の仮勘定として計上をします。
年度末の消費税の確定額計算及び申告を行う際に初めて費用として認識されるのです。

【まとめ】輸入経費と原価の計算方法を紹介!勘定科目・消費税について

以上ですが、輸入には商品代金以外にもかかる費用が多く発生し、正しく会計計上を行い、原価へ反映させ正確な利益の把握が必要です。

しかしこの業務は慣れないと大変です。
しかも、月末や期末の忙しい時期にまとめて行うと時間がかかるため、頭を悩ませる処理だと思います。

貿易管理システムで「TRADING」では、日々の入力で輸入経費の仕訳を起票し、仕入した商品の在庫単価に按分することが可能です。業務でお悩みなら、ぜひ弊社へご相談ください。