【図解付き】為替予約とは?仕組みをわかりやすく解説!

【図解付き】為替予約とは?仕組みをわかりやすく解説!

企業のグローバル化が進み、海外企業との輸出入取引は一般的なものとなっています。
海外取引で米ドルやユーロなどの外貨を使用する場合、重要になるのが「為替レート」です。
為替レートは日々変動するため、輸出入取引では、為替変動によって予定外の損失が発生する「為替リスク」に注意しなければなりません。
こうした為替リスクを回避(ヘッジ)する方法の一つが「為替予約」です。為替予約によって将来の決済レートをあらかじめ決めておけば、為替相場の変動による影響を抑え、取引の採算を安定させることができます。

また、為替予約の契約内容や残高、外貨決済を正確に把握するためには、貿易管理システムを活用した一元管理も有効です。
今回は、為替予約の意味や仕組み、為替レートの決まり方、メリット・注意点について、図解と具体例を交えてわかりやすく解説します。。

為替予約とは・意味

為替予約とは・意味

為替予約とは、将来の外国為替取引について、通貨・金額・為替レート・受渡日などの条件をあらかじめ取り決めておく取引のことです。
例えば、半年後に1万ドルの支払いが予定されている場合、1ドル=150円で為替予約を契約しておけば、その後の市場レートが変動しても、予約したレートでドルを購入できます。
この仕組みにより、輸入企業は将来の支払額を、輸出企業は将来の受取額を事前に把握しやすくなります。
為替予約は、輸出入業務における為替変動リスクへの対策として広く活用されています。

為替レート・決まり方について

国境を越えた海外企業と売買取引を行う輸出入の場合、代金の決済時に使用する通貨の取り決めが必要です。
「米ドルと円」、「ユーロと円」、「米ドルとユーロ」など、組み合わせはさまざまです。

取引相手と異なる通貨で行う売買取引を「外国為替取引」といいます。
この「外国為替取引」は、通貨が異なる両国間の決済では、取引通貨に交換する必要があります。

自国の通貨とは異なる取引通貨に交換する時、使用する交換比率を「為替レート」といいます。
例えば、アメリカの仕入先との取引を【米ドル】で行い、決済は、輸入後45日後という支払条件とします。

(輸入時)

為替レート・決まり方について、輸入時の為替レート

10万ドルの商品を輸入(仕入)⇒ 10万ドル×135円=1,350万円(買掛金)

  (代金決済時) ・・・ 輸入した時から45日後に決済

為替レート・決まり方について、代金決済時の為替レート

10万ドルの商品代金を支払う⇒ 10万ドル×150円=1,500万円(買掛金の支払い)

10万ドルの商品を輸入した時は、円に換算すると1,350万円だったのに、45日後のレートでは輸入時に比べると円安となったので、1,500万円必要となり、商品代金を決済することになります。

為替レートの差から、150万円の「損失」になりました。
これは、輸入時には予想できなかったことですよね。

為替レートはなぜ変動するのか

為替レートはなぜ変動するのか

では、為替レートはなぜ変動するのでしょうか。
日本円や米ドルなど、変動相場制を採用する通貨の為替レートは、外国為替市場における需要と供給のバランスによって変動します。
一般的に、買いたい人が増えた通貨は価値が上がり、売りたい人が増えた通貨は価値が下がる傾向があります。

為替市場には、銀行、証券会社、投資家、一般企業、個人など、さまざまな参加者が存在します。
また、通貨の売買に影響を与える要因も多岐にわたります。
代表的なものとして、各国の金利差、物価や経済指標、中央銀行の金融政策、政府関係者の発言、国際情勢などが挙げられます。

実際に、新型コロナウイルスの流行やウクライナ情勢、各国の金融政策の変化なども、為替相場に大きな影響を与えてきました。
外国為替市場は世界各地で取引されており、平日はほぼ24時間取引が行われています。
そのため、為替レートは絶えず変動しており、将来の相場を正確に予測することは容易ではありません。

為替リスクを回避(ヘッジ)する対処方法

為替リスクを回避(ヘッジ)する対処方法

為替市場で、さまざまな要因から日々変動するレートを将来的に予測するのは難しいことだと思います。
しかし、海外の取引相手との「外国為替取引」において、為替の変動による損失は、会社の利益に直結するため、できる限りリスクを抑える回避策を考える必要があります。

そこで、将来の為替レートは予測できなくても、将来使用する為替レートを事前に取り決めることはできますその手段の一つが「為替予約」です。

「為替予約」(先渡取引」)とは、将来予定している売買取引において、銀行と予め通貨、為替レート、金額、受渡日、期間を取り決め、決済時に予約した通貨とレートを使用する契約のことをいいます。

将来、為替レートが変動した場合でも、その影響を受けることなく、予約した為替レート、通貨で決済処理ができるので、自社の採算を確定することができます。

この予約した為替レートを「先渡為替レート」(forward exchange rate)といいます。

「為替予約」の仕組みを図解で説明

「為替予約」は、銀行とある一定の期間で、予め取り決めた為替レートで外貨を使用する契約であることは、既にご紹介しました。ここでは、「為替予約」の仕組みについて、簡単に図解で説明したいと思います。

前述した例を「為替予約」を使用した場合に置き換えてみます。自社の取引銀行と、【45日後に1ドル=135円の為替レートで10万ドル購入する】契約をします。

すると、買掛金10万ドルの決済は、決済当時の為替レートではなく、予約した為替レートで購入した10万ドルを使って決済ができます。

「為替予約」の仕組みを図解で説明

前述した例では、決済当時の為替レートを使用したため、150万円の損失がありましたが、「為替予約」を使用することで、為替差による「為替差損」が回避され、採算も事前に確定できます。

今までの例は、輸入・決済時に円安になる場合を前提にご紹介いたしました。

確かに、決済時のレートが輸入時のレートと比べると円高になり、為替差による「利益」が発生することも考えられます。
よって、「為替予約」をすることにより、「利益」が得られなくなる可能性もあります。
しかし、この「利益」は得られなくても、為替差による「損益」を回避(ヘッジ)することを目的としているのが「為替予約」なのです。

輸出の場合も同様、将来円高になることで発生する為替差のリスクを、「為替予約」を使用して売上金額を確定しリスク回避(ヘッジ)に備え、安定した収益を上げることにつながります。

次に、「為替レート」の決め方についてご紹介します。
「為替予約」のレートは、現時点の「為替レート」(直物レート・スポットレート)、「相手国の金利」、「円金利」、「期日までの期間」で決まります。

例えば、1ドル=130円、日本の金利が1%、米ドルの金利が3%、期間を1年間運用すると、「為替予約」のレートは1ドル=127.48円という計算です。

131円30銭÷(為替予約レート)=1.03米ドル なので、(為替予約レート)=131円30銭÷1.03米ドル=127.48円/米ドル

131円30銭÷(為替予約レート)=1.03米ドル なので、(為替予約レート)=131円30銭÷1.03米ドル
=127.48円/米ドル・・・直物レートよりも円高ドル安

「為替予約レート」は、直物レート(スポットレート)と、両国の通貨間の金利差が反映されます。

金利の高い通貨の「為替予約レート」が直物レート(スポットレート)より安くなることを「先物ディスカウント」といい、金利差分のディスカウント(割引)となり、金利の安い通貨の「為替予約レート」が直物レート(スポットレート)より高くなることを「先物プレミアム」といい、金利差分のプレミアムが得られます。

上記例の場合、直物レートが1ドル=130円から、為替予約レートが1ドル=127.48円なので、円はドルに対しプレミアム状態となります。

「為替予約」の注意点

「為替予約」の注意点

次に、「為替予約」で留意すべきことがあります。
一度契約した「為替予約」は、取り消すことができないということです。

期間内に、契約した金額は使い切る必要があります。
「為替予約」は、銀行との間で外貨決済を行うときの為替レートを予め決める「売買取引」と規定されます。

そのため、銀行の事前審査を受ける必要があります。
「為替予約」を契約する銀行側としては、万が一、倒産などの理由で「為替予約」が不履行になったとき、実際の為替相場との差損益を回収できなくなるリスクがあるので、「為替予約」の契約を与信行為とみなしているそうです。

為替予約のメリット・デメリットについては、下記の記事でも詳細にまとめてますので、ぜひ参考にしてください。

Q.1
為替予約のコストはいくらですか?

為替予約のレートには、主に2通貨間の金利差や予約期間が反映されます。また、金融機関によるスプレッドなども考慮する必要があります。コストは取引条件によって異なるため、契約前に金融機関へ確認しましょう。

Q.2
為替予約を使わなかったらどうなる?

為替予約を契約した後に、輸入予定の変更などで外貨が不要になった場合でも、原則として契約を履行する必要があります。金融機関との合意により解消できる場合もありますが、為替相場によっては損失や費用が発生するため、注意が必要です。

Q.3
為替予約で円安になるとどうなる?

輸入企業の場合、円安が進んでも予約したレートで外貨を購入できるため、円換算の支払額増加を抑えられます。一方、輸出企業の場合は、円安によって得られるはずだった為替差益を享受できなくなる可能性があります。

Q.4
為替予約など、輸入管理におすすめのシステムを教えてください。

為替予約や外貨決済を含む輸入業務を効率化したい場合は、サンプランソフトが提供する貿易管理システム「TRADING」シリーズが選択肢の一つです。

「TRADING」は、輸出入業務に必要な為替予約管理や外貨建て債権・債務管理、入出金処理などに対応したクラウド型の貿易管理システムです。

特に輸入業務では、次の2製品があります。

  • TRADING-IS: 輸入業務に加え、国内の在庫管理・販売管理まで一元管理できるシステムです。輸入から国内販売までをまとめて管理したい企業に適しています。

  • TRADING-IM: 輸入業務に特化したシステムです。既存の国内販売管理システムと連携しながら、為替予約や外貨決済を含む輸入業務を管理したい企業に適しています。

為替予約を含む貿易業務をシステム化する際は、為替予約単体の機能だけでなく、海外発注・仕入・買掛金・支払処理などとの連携も確認するとよいでしょう。

詳しくは、貿易管理システム「TRADING」をご覧ください。

【まとめ】為替予約とは?仕組みをわかりやすく解説!

「【図解付き】為替予約とは?仕組みをわかりやすく解説!」と題して、ご紹介してまいりました。

為替レートは、輸出入などの貿易取引では、仕入や売上の実績、入金や支払の決済などの実利益の把握だけでなく、受注や発注時などの予定利益を把握する上でも重要な要素です。また、為替差による「為替差損益」で、大きく変わります。

安定的にビジネスを続けるために、回避できるリスクは、皆さん、常日頃考えられていらっしゃいますよね。
この「為替予約」による取引は、輸出入の貿易だけではなく、外貨建ての資産運用でも、ごく普通に行われる取引です。
昨今の急激な円安傾向となったように、日々変動する為替レートのリスク回避(ヘッジ)として、「為替予約」に注目してみるのはいかがでしょうか。

株式会社サンプランソフトが提供する、貿易管理システム「TRADING」では、為替予約の残管理機能を搭載しております。
為替予約伝票を作成することで、前受金、前払金伝票作成時、入金処理、支払処理時に充当することができます。「TRADING」は、輸出入業務に関する機能が充実しておりますので、ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。

著者:株式会社サンプランソフト
1994年の設立以来、一貫して貿易システムの開発・提供に取り組んでいます。
弊社が提供する貿易管理システム『TRADING』は、輸出入・輸出・輸入・国内販売管理に関わる業務を一元管理し、
貿易業務の標準化と効率化を実現するクラウド型パッケージソフトです。
これまでにのべ2,000社以上の導入経験から得たノウハウを活かし、お客様の課題解決を支援しています。