【例付】輸入商品の原価計算方法!管理は何で行うべき?

【例付】輸入商品の原価計算方法!管理は何で行うべき?

輸入商品には、商品代金だけでなく様々な費用がかかります。

かかった費用を商品代金へ乗せて商品原価としている会社が多いかと思いますが、その計算はどのように行っていけばよいのでしょうか。

本記事では、前半に原価計算・消費税の概要と原価計算例について、後半に、原価管理を行うためのツールについてご紹介します。

原価計算とは?

商品を仕入れる際にかかった費用を計算し、商品原価を算出することをいいます。
製造業であれば製品の製造にかかった費用(材料費、組立加工費、設備の減価償却費等)から商品原価を算出します。

輸入商品の場合は、商品代金以外に運送費、倉庫保管料、保険料等が商品原価に含まれることが多いです。

輸入商品にかかる経費例の一部

  • 運賃…貨物運賃等の運送費用
  • THC(Terminal・Handling・Charge)…コンテナの取扱費用
  • CFS(Container・Freight・Station)チャージ…混載コンテナから輸入貨物を取り出す費用                            
  • D/Oフィー(Delivery・Order・Fee)…Docフィーとも呼ばれる、荷渡指図書発行費用
  • 輸入取扱料…量に関係なく一律で決められている取り扱い費用
  • 内容点検料…必要に報じて発生する貨物の検査費用
  • 法令申請…法令に沿って輸入承認申請が必要な輸入に関する費用
  • 保管料…期限を超えて保税地域に貨物を保管する費用
  • 税関検査料…検査発生時の立会料、検査場への輸送料、その他作業費用
  • 国内配送料…保税地域から指定場所への輸送費用

消費税の計算も必要

輸入商品の場合、海外現地で商品を購入しただけでは日本の消費税課税対象とはなりませんが、航空便や船便を使って日本へ輸入する時点で消費税・関税を支払う必要があります。
こちらも商品原価の計算に含まれます。

輸入にかかる消費税

  • 関税(従量税、従価税)…輸入の際にかかる税金
  • 内国消費税…消費税法等の規定により課される消費税、酒税、たばこ税及びたばこ特別税、地方揮発油税、揮発油税、石油石炭税並びに石油ガス税
  • 地方消費税…輸入時に荷揚げされた保税地域から引き取られる際にかかる消費税

商品原価における算出例

商品原価における算出例

下記の場合、以下のような計算で商品原価を算出します。

  • 商品代金$4.5の商品Aを1000個、$3.2の商品Bを800個仕入、為替レートは120.34円
  • かかった経費は、運送料¥80,000、保険料¥15,000、関税¥30,000、消費税¥51,000
  • 経費の内運送料は数量按分、保険料、関税、消費税は金額按分

①商品代金:商品代金に仕入時のレートを掛けて円での金額を算出する
4.5×120.34=541.53(小数点第一位を四捨五入した場合:542円)
3.2×120.34=385.08(小数点第一位を四捨五入した場合:385円)

➁1個あたりの按分経費:かかった経費を数量、金額で按分し、1個当たりの経費を算出する
運送料(数量按分):
 商品A、B…80000÷(1000+800)=44.44(小数点第一位を四捨五入した場合:44円)
保険料(金額按分):
 商品A…15000÷(542+385)×542=8770.22
     8770.22÷1000=8.7702(小数点第一位を四捨五入した場合:9円)
 商品B…15000÷(542+385)×385=6229.7735
      6229.7735÷800=7.7872(小数点第一位を四捨五入した場合:8円)
関税(金額按分):
 商品A…30000÷(542+385)×542=17540.4531
     17450.4531÷1000=17.5405(小数点第一位を四捨五入した場合:18円)
 商品B…30000÷(542+385)×385=12459.5469
     12459.5469÷800=15.5744(小数点第一位を四捨五入した場合:16円)
消費税(金額按分)
 商品A…51000÷(542+385)×542=29818.7702
     29818.7702÷1000=29.8188(小数点第一位を四捨五入した場合:30円)
 商品B…51000÷(542+385)×385=21181.2298
     21181.2298÷800=26.4765(小数点第一位を四捨五入した場合:26円)
⇒1個当たりの商品原価:➀と➁の合計
商品A…542+44+9+18+30=643円
商品B…385+44+8+16+26=479円
商品代金合計+経費合計=商品Aの商品原価×数量+商品原Bの商品原価×数量となります。

輸入の原価計算をExcelで管理

輸入の原価計算をExcelで管理

先述したような、原価計算を行う際に恐らく最も多く使われているツールは、Excelかと思います。
関数やマクロを駆使してかかった費用及び商品原価を算出している会社は、多いのではないでしょうか。

必要な項目や配置など、自由に作成できるのは大きなメリットですが、1から関数やマクロの組み立てが必要になること、誰でも自在に変更等を行えることで、計算結果に不整合が発生しやすいこと、上書きを行った場合過去のデータが残らなくなること、作成者しかわからないことがある等の属人化が、デメリットとして挙げられます。

また、業務に合わせて作成する場合、ファイルやワークシートを増やす場合も多々発生するため、業務が煩雑になり、手間が増える可能性もあります。

輸入の原価計算をシステムで管理

輸入の原価計算をシステムで管理

上記のリスクを避けるため、システムでの原価計算を行っている会社が増えてきています。
経費の金額、どのように按分するか、経費を上乗せする商品を入力すると自動的に経費込みの商品原価を算出する等の機能があるシステムなどがあります。

Excelのように項目内容やその配置、計算方法や端数処理等のルールを自由に設定できるというメリットは削がれます。
しかし、下記のようなメリットを得られるでしょう。

  • Excelで1から関数やマクロの組み立てを行わなくても良いこと
  • システムでの一元管理が可能となること
  • 原価の計算をシステム内で行うため計算ミスが減ること
  • 変更についても制御がかかるため不整合の発生がぐっと下がること
  • 作成者のみがわかるような情報や設定がなくなるため属人化を避けられること

【まとめ】輸入商品の原価計算方法!管理は何で行うべき?

輸入における原価の計算と原価管理におけるツールについてのご紹介をさせていただきました。
最後に、Excelとツールのメリット・デメリットを下記にまとめてますのでご確認ください。

Excelシステム
メリット・レイアウトや項目等自由に編集可能・一元管理が可能となる
・自動計算のため関数やマクロの組み立てが不要、計算ミスが減る
・変更に制御がかかるため不整合の発生が減る
・作成者しかわからないことがある等の属人化を避けられる
デメリット・関数やマクロの組み立てが必要
・計算結果の不整合が発生しやすい
・上書きの場合過去データが確認できなくなる
・作成者しかわからないことがある等の属人化
・業務に合わせ変更や追加行った場合入力箇所やファイルが増える可能性がある
・レイアウトや項目、計算方法や端数処理等のルールがある程度決まっている

自由さのExcel、正確さのシステムでメリット、デメリットがそれぞれ存在します。

現在使用しているツールから今後使用するツールを変更する場合、メリット、デメリットを吟味してください。
コストパフォーマンスも鑑みながら、それぞれの業務や運用に沿ったものを選択することで作業の効率化が図れるかと思います。

株式会社サンプランソフトのTRADINGは、貿易に特化したシステムです。
原価管理にも対応し、上記のメリットも実現可能ですので、Excel管理でお悩みの方は、ぜひご覧ください。