貿易業務をDX化するメリットと具体的な効果

近年、ニュースや広告などでDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉をよく耳にするようになりました。
デジタル技術を活用し、業務の効率化や働き方の変革を目指す取り組みを指すものですね。
製造業や金融業などさまざまな業界で進んでいますが、貿易業務においても複雑な手続きや書類管理の負担を軽減し、スムーズな取引を実現すべくその重要性が高まっていると言えるでしょう。
「貿易業務は複雑だから、今まで通りのExcel管理じゃなきゃ仕事が成り立たない…」
そのようなお悩みをデジタル技術を活用して抜本的な業務変革が実現できます。
本コラムでは、貿易管理におけるDXの可能性と、その導入によって得られるメリットについて解説します。
目次
貿易業務におけるDX化とは?

まずはじめにデジタル技術を活用し・・・と述べましたが、現時点でも貿易業務でのデジタル化がゼロというわけではありません。
例えば、船積書類や発注書の作成などでは、Excelのような表計算ソフトが用いられているケースが多くみられます。
それではDXは貿易業務に対してどういった効能を発揮するのでしょうか。以下で例を交えて紹介いたします。
例えば、船積みが月に10件、これに関わる仕入先が10件あるとします。
10*10=100セットの書類・・・には留まらず、注文書をはじめINVOICEやPACKING LISTといった通関書類の作成を鑑みると、月にざっと数百枚以上の書類作成があるわけですね。
Excelで各書類のひな型があるといっても、すべてを正確に誤記やモレなく作成するのは担当者のスキルに一任となっているわけです。
また、貿易書類は多様かつ煩雑ですので、特定の担当者への依存が起こりがちです。
トラブル時のバックアップや後任育成に苦労されている企業様も多いかと思われます。
このような、貿易業務のボトルネックをデジタル化によって解決する方策こそが、DXの本懐といえるでしょう。
貿易業務でDX化が進まない4つの理由

しかしながら、「DX化を進めたい!」と考えていても、さまざまな問題があるのが現実です。
- 各業務担当間での情報共有が難しい
貿易業界では、荷主から倉庫担当、運送業者、通関業者、税関等、多くの人々が関与します。
そのため、より安全で正確な情報共有の方法が必要な状況です。
「今まで通りのやり方でないと…」と感じるのも、情報共有の業務が複雑だからではないでしょうか。
- 伝統的な業界慣習
貿易業界では、物流や商品の実物に対する信頼が非常に強いです。
伝統的な慣習により、紙ベースの書類や実物の確認が重視される傾向があります。
- 複雑な手続きに必要な複雑な書類
通関手続き、輸送手続き、保険手続き等、それぞれの手続きで独自のルールや書類が必要とされる点もデジタル化を阻む要因でもあります。
- パートナーや顧客との複雑な連携
貿易業務では複数のパートナーとの連携が必要ですが、異なる国や地域での規制や手続きの違いがあります。
これがDXを進める上での障壁となることがあります。
貿易業務のDX化によるメリット

ここからは、DXの具体的な事例について紹介していきます。
例えば、担当者のスキル任せや特定の依存について見てみましょう。
正確にモレのない貿易書類を作成することや、煩雑な貿易書類作成フローの把握といったスキルセットの習得が難点なのですが、このあたりをシステムに任せようというお話になります。
人間の転記ミスやコピー&ペーストの失敗に着目すると、システムならば1-2クリックで正確に転記が完了します。
また、貿易書類をどの順番で作成すれば・・・といった新人社員の混乱も、フローに沿って自動で書類作成するソフトを選定すると解決することでしょう。
こういった自動化による属人性の解消も、貿易業務におけるDXの特徴の一つに挙げられます。
そしてシステムに可能なタスクと人にしかできない業務を切り分け、リソースの”選択と集中”が可能となることこそが最大のメリットと言えるのではないでしょうか。
次項では、DXをどのように取り入れるか、そのコツをご紹介していきます。
DX化で”業務の流れ”を変革するコツ
さて、メリットを知っていただいた後は、どのようにDXを実践するかについてです。
「ERPと貿易管理システムによる最適な貿易DX化とは?」のコラムでは、現状の業務ツールや業務フロー、課題を棚卸しすることが肝心とお伝えしましたので、今回は実際の事例を交えて記していきます。
ある家具メーカーでは海外販売を始めた当初、Excelに長けた担当者がマクロを組むことで船積書類から商品マスターの管理までを行っていました。
しかしながら、事業が軌道に乗るにつれ、特定の担当者でしか実務作業をできず、マクロのメンテナンスも行えないといった状況となったためDX化に乗り出しました。
結果、貿易管理システムを導入することで、見事上記の属人化を解消できたのですが、特に着目したいのは、以下の2点になります。
>>ベンダー選定で最も重要だったのは、24時間の利用が可能なこととシンプルな操作性
>>当社の実現したいことを提案やデモで確認させていただき、とても信頼感が持てた
つまり、DXという便利なアイテムを使って何を実現したいかが明確だったというわけです。
詳細は、以下の導入事例ページを参考にしてください。
カリモク家具株式会社 導入事例|サンプランソフト
貿易DX化のために貿易管理システムを導入する選択肢

上述したDXで何を実現したいか という考え方が、本項の肝となるのはお分かりかと思います。
貿易業務をDX化するために、システムを導入するという選択があります。
課題とシステムによる解決をケースでみていきます。
ケース1:過去の取引内容を確認したいが、探すのに時間がかかる
Excelでの運用でよく伺うお悩みです。
取引先ごと/年次別など、作業担当者によって過去のデータ管理が統一されておらず、日々ムダな時間をかけてしまうということですね。
ファイルの管理方法を整備・周知するといった方法もありますが、定期的にパトロールするなどマンパワーを要するあたりがデメリットといえます。
こちらのベストプラクティスとしては、データ参照機能をもつシステムの選定となります。
例えば、見積作成画面から過去の単価データを参照する機能を持っている貿易ソフトがあります。

ケース2:貿易書類の作成ミスが多い
貿易書類の作成ミスが多いことには、いくつか原因が考えられますが、前述したような転記ミスや書式のバラつきからくることが多いのではないでしょうか。
特に、Excel管理ですと、書類ごとに別ファイル間でコピー&ペーストを駆使することになるかと思いますが、煩雑な貿易書類を扱う担当者にノーミスを求めるのは酷といえます。
この場合は、書式の整ったシステムの選定が良いでしょう。
ソフトによっては、統一された書式で作りやすいだけではなく、次フローの書類を自動で作成する機能が搭載されているものもみられます。

ケース1・2のいずれも貿易管理システムから選定するのがベターではありますが、もちろんソフトによって得意分野や使い勝手に違いはあります。
まずは、自社の事業内容や困りごとについて、ご相談するところから始めてみるのもDXの第一歩といえるのではないでしょうか。
貿易管理システム「TRADING」による貿易DXの実現
もう少し、具体的にご紹介させていただきます。DX化を阻む具体的な業務として、貿易書類の作成があげられます。
独自の書類をExcelで作成されていることや、書類作成のルールが独特で属人化している、などの理由でDX化が難しいと感じている方も少なくないのではないでしょうか。
手前味噌ではありますが、弊社の『TRADING』でできる書類作成や、情報の一元管理をご紹介させていただきます。
■『TRADING』で作成できる書類一覧
- 見積書(税抜)/(税込)
- Price List
- 受注伝票
- Sales Note
- Purchase Order
- 注文書(税抜)/(税込)
- 注文請書(税抜)/(税込)
- 仕入伝票
- 納品書・物品受領書
- Invoice
- Packing List
- Shipping Instruction
- Shipping Advice
- Letter
- 原産地証明書
- Draft
- Application
- 送金依頼書
- 請求書(税抜)/(税込)
- 請求請書 etc.
上記の貿易書類を『TRADING』のみで作成することが可能です。
『TRADING』上で作成した書類データをPDFや紙に印刷することで、Excelで書類を作るというアナログな業務が一気に効率化できます。
また、社員のキャリアによって書類の制度や生産性が異なる、といった課題についても、『TRADING』の書類作成ならWord感覚で初心者でも使いやすい作りになっているので、お客様の課題解決の一助になります。
上記の書類一覧を上から読んでいただくと、見積から契約、船積み・通関書類、請求書まで、貿易業務の流れ中で一貫して作成できることがお分かりになると思います。
これは、『TRADING』で作成した見積の情報を引き継いで契約書を作成できたり、契約書の情報から必要な発注書を作成できるため、この順番で表記させていただきました。
書類作成の手間を大幅に省くことが可能なのです。
では、実際に『TRADING』 でどのように書類を作成するのか、Invoiceの作成を例にご紹介したいと思います。

『TRADING』上のフォーマットに、上記の図1のように、Invoice作成に必要な情報を該当する項目に入力していきます。

明細部と呼ばれる図2の操作方法は割愛させていただきますが、必要な商品情報と合計行を挿入し、必要であれば余白に文言を入力して、書類を完成させます。
『TRADING』製品全般の特徴として、表示のままの書類を印刷することが可能です。ですので、これで書類が完成です。
あとは、印刷していただいたり、PDFとしてファイルを保存したり、今まで通りの業務の流れに沿って書類をお使いいただけます。
『TRADING』システムの主なメリットと機能
では最後に、ご紹介した『TRADING』の導入メリットと主な機能をご紹介します。
1.使いやすいインターフェース
Invoice書類作成でもお伝えしました通り、『TRADING』システムはワープロソフトを使用する感覚で操作できる直感的なインターフェースを提供しています。
これにより、情報の入力や書類の作成を簡単に行うことができます。
分かりやすくボタンやメニュー機能もある為、誰でも操作することができます。
この直感的な操作性は従来の貿易業務のデジタル化において大きな利点になっています。
2.柔軟に貿易書類の作成が可能
既に作成した書類のデータから情報を引き継いで別の書類を作成したり、同じフェーズの別書類を作成できる機能を備えています。
他の書類からデータの引継ぎをして、指定されたフォーマットに従って自動的に書類を作成することも可能です。
上記に記載されているInvoiceも、一から作成するのではなく、『TRADING』で作成した受注の情報を引き継いで自動的に作成ができます。
また、商品に関する情報以外にも追加の情報を自由に記載することが可能です。
さらに、作成した書類をExcelやPDF形式に変換することもできます。
3.自動化された作業プロセス
手入力だけでなく、既存のデータから情報を引き継いで書類を作成する機能が備わっています。
たとえば、Invoiceの場合、Sales Noteや受注伝票からの情報引き継ぎが可能です。
これにより、作業の手間とヒューマンエラーを軽減し、業務効率を向上させることができます。
4.外貨建て国内の在庫販売管理や分析機能も搭載
『TRADING」システムは、国内や海外の書類作成に加えて、国内の外貨建て在庫販売管理や取引データの一括管理も可能です。
90種類以上の資料の印刷機能や、データのExcelへの出力機能が備わっており、さらに分析機能によってデータを視覚化することもできます。
5.会計システムや販売管理システムとの連携
『TRADING』システムでは、売上や仕入、支払、入金などの仕訳データの作成が行われます。
さらに、これらのデータは会計連携用プログラムを介して会計システムと連携され、会計処理をスムーズに行うことができます。
これらの機能により、「TRADING」システムを利用することで、貿易業務全体をトータルで管理し、業務効率を向上させるだけでなく、ビジネスの洞察力を高めることができます。
【まとめ】貿易業務をDX化するメリットと具体的な効果
●貿易業務におけるDXとは?
→貿易書類作成のような煩雑な業務の量や属人化のリスク低減を実現する方策
●業務自動化による最大のメリット
→システムに得意な部分を任せ、人的リソースの”選択と集中”が可能となる
●DXで”業務の流れ”を変革するコツ
→DXによって実現したいことを明確にする
●貿易管理システムという選択肢
→ご相談するところから始めてみるのもDXの第一歩
今回は貿易業務をDX化するメリットと具体的な効果についての紹介でしたが、いかがだったでしょうか?
自社業務の困りごとに対し、明確なビジョンを持つことでDXを実現するというお話でした。
貿易管理システム『TRADING』を利用することで、これらの課題を克服し、業務効率化を図ることが可能です。
『TRADING』では、20種類以上の貿易関連書類を簡単に作成することができ、書類作成に関する属人化や独自のルールの排除をすることができます。
既存のデータから情報を引き継いで書類を作成する機能も備えているので、手間や入力の間違えを軽減することができ、作業効率が向上します。国内や海外の書類作成だけでなく、在庫管理や取引データの一括管理も可能です。
また、『TRADING』のシステムはWordを使用する感覚で操作が可能であり、初心者でも使いやすい作りになっています。
社員のスキルや生産性の差による課題も解決できます。
著者:株式会社サンプランソフト
1994年の設立以来、一貫して貿易システムの開発・提供に取り組んでいます。
弊社が提供する貿易管理システム『TRADING』は、輸出入・輸出・輸入・国内販売管理に関わる業務を一元管理し、
貿易業務の標準化と効率化を実現するクラウド型パッケージソフトです。
これまでにのべ2,000社以上の導入経験から得たノウハウを活かし、お客様の課題解決を支援しています。