食品卸売業における輸入・輸出戦略と今後について

食品卸売業における輸入・輸出戦略と今後について

最近では、日本国内で食される商品の多くを海外から仕入れるケースが増えて参りました。
各商品のパッケージ裏を見て頂ければわかりになりますが、原産国が海外となっております。

2022年日本チェーンストア協会がまとめた全国スーパー売上高は13兆2600億円。
前年と比べ1.9%増と3年連続でプラスとなっております。
食品卸の販売額も毎年に比べ緩やかに伸びております。

その伸びている原因としては、新型コロナウィルス影響により各メーカーの原材料の高騰により値上げを実施し、チルド品・冷凍品等の低温カテゴリーの売上拡大により食料品の売上が伸びる結果となりました。

ただ、今後は短期的には需要は拡大するものの、中長期的には人口減少の影響から横ばいないし縮小に転じることが予想されます。

このような状況のなか、食品卸売業における輸入と輸出戦略と今後についてご紹介いたします。

食品卸売業における輸入戦略

食品卸売業における輸入戦略

現在、各スーパーやコンビニエンスストアで販売される多くの商品の多くが海外から仕入れて売られております。
輸入業務が始まる前は国内で仕入れて国内で販売することが大半でしたが輸入業務が頻繫に行われることが多くなり海外の食品を販売すること可能となりました。

主な仕入国として、北米、南米、欧州、豪州等があげられますが国内で需要を満たすことのできない品目は、国際需要や価格の動向を踏まえて輸入し国内への安定共有を図っております。
日本への輸入は船での輸入が多くなっておりますが運河や海峡を通過しない輸入ルートが比較的多くなっているのが特徴でもあります。

食料自給率の低い日本

「食料自給率」という言葉をご存じでしょうか。
食料自給率は、国内で消費される食べ物が、どのくらい国内生産によってまかなえているかを示す割合のことを言います。

食料自給率は、品目によって異なり日本国内でたくさん作られている米、野菜、魚は比較的多く自給出来ておりますが、それ以外の肉類や大豆、大豆等の製造は低水準となっています。

低水準になっている食材の大半が輸入に頼っているのが現状でございます。

食品卸売業における輸出戦略

食品卸売業における輸出戦略

最近では、中国が日本処理水放出により食品の輸入を全面停止というニュースが流れましたが、食品の輸出も今後重要な収入源となってくるかと思われます。

販売方法として、直接エンドユーザーとやり取りする直接輸出取引と商社を経由した間接輸出取引があります。
将来的に日本の人口は1億人を切りと言われており、国内のみ販売で解決することは経営が成り立たなくなる可能性が高く輸出業務は必須となる可能性があります。

日本の製品(食品)は安心、安全、おいしいをもっとうにMade In Japanで多くの国に輸出を行っており大変高い評価を頂いていると聞きます。
また、新型コロナウィルス以降円安が(1$¥146,41円/2023年8月26日現在)進んでおります。

食品の輸出に関しては、追い風となっております。

日本の人口推移

(参考:グラフで見る日本の人口推移(過去と未来・将来の推測まで)と一覧表 GraphToChart)

東日本大震災に伴う、原発事故の風評被害で食品の輸出は一時落ち込みましたが、2013年の世界的な和ブームで前年比2割増しのペースで回復し農林水産省の発表では2013年の納品物および加工食品の輸出額は5,000億円を超え、2023年(1月~6月)で7,200億円弱と輸入と同様年々伸びているのが現状となります。

輸入食品メリット・デメリット

では、輸入食品のメリット・デメリットについて、ご紹介します。

輸入業務のメリット

①様々な食品が手に入る(輸入業者・消費者)
日本では中々食べられない様々な食品、旅行先で楽しんだ料理を楽しむことができるようになりました。
最近では、輸入食品を取り扱う専門商社も増えておりますが、日本では食べられない食品も気軽に食べることが可能となりました。

②海外旅行で味わった料理が国内で楽しめる(消費者)
国内で工場を作り、製造をすると人件費の高騰に伴い海外から仕入れた方が安く済み売る側としても多くの利益を得ると分かった為食品輸入するケースが多くなって参りました。

③大量の食品の仕入れが可能となる(輸入業者)
海外から商品を輸入する際少ロットではなく、契約条件によって大量の商品を輸入することも可能です。

輸入業務のデメリット

①食品が高額(輸入業者・消費者)
海外からの輸送費や関税等の輸入経費がかかる為金額はやむを得ず高額になって参ります。

②国内食品より鮮度が低い(消費者)
特に果物や野菜などは、収穫後すぐに食べられるのがベストですが、輸入の過程で時間をかかる為どうしても鮮度、風味が劣化してしまいます。

③輸入の際に食品に環境負荷がかかる(社会)
普段あまり実感がないかもしれませんが、輸入に際して実は様々な環境負荷がかかっております。
特に船や飛行機による輸送は大量の円了を使用し、二酸化炭素の排出量増加の大きな原因となっております。
また、梱包において多くの梱包材を消費することも環境負荷に影響します。

輸出食品メリット・デメリット

では、輸出食品のメリット・デメリットについて、ご紹介します。

輸出業務メリット

①収益の増加(輸出業者)
販売量や収益の増加する可能性があります。
販売方法として、直接エンドユーザーとやり取りする直接輸出取引と商社を経由した間接輸出取引があります。

直接輸出取引と間接輸出取引ともにメリット・デメリットがありますが、間接貿易をするケースが多いのではないかと思われます。
直接輸出のメリットはエンドユーザーと直接やり取りをするため無駄なマージン等が発生しない為多くの利益を得ることが出来ます。
間接輸出は利益は多少減りますが、エンドユーザーとのやり取りを直接行って頂ける為手間をなくすことが可能です。

②リスク分散(輸出業者)
国内市場への依存度下げることで地域的なリスクや景気変動の影響を分散させることが可能です

③ブランド価値の向上(輸出業者)
輸出の成功や評価は企業や製品のブランド価値を向上させることができます。
認知度や信頼が高まり海外だけではなく国内でもブランド価値が向上する可能性があります。

輸出業務デメリット

①与信の確認(輸出業者)
直接輸出時に限りますが、販売先の与信をしっかり確認することが必要です。
実際に商品を輸出しても入金がなければ利益を得ることができません。

③継続性が必要(輸出業者)
輸出を行う際に一度、輸出をおこなったからと言って簡単に売れるものではなく各地域ご毎に継続的に販促を行う必要があります。

【まとめ】食品卸売業における輸入・輸出戦略と今後について

上記でお伝えいたしましたが、食品卸において輸入・輸出は今後必ず必須になってくるかと思われます。
数十年後には人口が1億人を切ると言われており国内での作り手・買い手が減ることを考えると食品の輸入・輸出はなくてはならないものになるのではないでしょうか。

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輸入経費については、海外から送られてくるINVOICEに海貸業者様からの経費の請求書を割り振ることで自動的に按分計算することが可能です。
輸出の場合は、INVOICEPACKING LISTをワープロ感覚で入力して作成することができます。