為替手形とは?仕組みや利用方法、メリット・デメリットをわかりやすくご紹介!

為替手形とは?仕組みや利用方法、メリット・デメリットをわかりやすくご紹介!

為替手形(Bill of Exchange)は、国内外の取引において利用される重要な金融手段の一つです。
この記事では、為替手形に関連する用語や概念を解説し、その仕組みや特徴、利用方法、そしてメリットやデメリットについて詳しく説明します。

為替手形とは

振出人にとって為替手形を発行することで、入出金を伴わずに買掛金を消し込めるメリットがあります。
これにより、販売を行った企業は商品を提供した時点で売掛金を得ることができ、資金繰りをスムーズにすることができます。また、売掛金の回収リスクを引受人が負うため、振出人の信用度が向上する可能性もあります。

しかし、支払人(引受人)は支払日までに資金が足りず不渡りになるリスクがあります。
不渡りが発生すると、支払人の信用度が下がり、取引先や金融機関からの信用を失う可能性があります。このため、支払人は為替手形を受け入れる際には慎重に資金計画を立て、支払いの確保に努める必要があります。

為替手形の仕訳は、受取時と支払時にそれぞれ行われます。受取時には売掛金が増加し、手形が増加します。
支払時には手形が減少し、売掛金も減少します。このように、為替手形を取引する際には、受取人と支払人の両者がリスクを適切に管理することが重要です。

為替手形の仕組み

為替手形の仕組み

為替手形の仕組みは以下の2つの段階で構成されます。

■発行と振出
振出人が為替手形を発行します。これは、振出人が支払いを行う代わりに手形を発行し、支払いを受ける権利を受取人に譲渡することを意味します。
振出人は手形を受取人に渡し、受取人が手形の額面に相当する金額を支払うことを期待します。受取人は手形を受け取り、これによって振出人が支払うことを約束します。

■支払と受取
手形の期日になると、支払人は手形の額面に相当する金額を支払います。
この支払いは受取人に対して行われます。受取人は支払いを受け取り、手形を現金化するか、あるいは他の手段で利用します。手形が支払われると、取引は完了します。

為替手形の利用方法

為替手形の利用方法には、以下の2つがあります。

・取引の拡大 為替手形を利用することで、取引の規模や範囲を広げることが可能です。
国内外を問わず、安全で効率的な取引が実現できます。これにより、企業は新たな市場に進出したり、取引先との関係を強化したりすることができます。

・支払の柔軟性 為替手形では手形の期日や支払い方法が取引当事者によって自由に設定できます。
このため、双方の利便性が向上し、取引がより柔軟に行われます。また、信用力の高い取引相手との取引において、為替手形は信頼性の高い支払い手段として利用されます。

為替手形のメリット

為替手形のメリット

為替手形のメリットは、以下の4つがあります。

■入出金をせずに買掛金の消し込みが可能
為替手形を利用すると、振出人は買掛金を支払う際に入出金の手間を省くことができます。
手形を発行し、支払人が手形代金を支払うことで、買掛金と売掛金の消し込みが行われます。

この方法を使えば、自社で買掛金を支払いながら売掛金の回収を待つ必要がなくなります。
それにより、口座の残高不足による支払い漏れや回収の期限切れといったリスクを回避できます。ただし、買掛金と売掛金の消込処理はきちんと行う必要があります。

■支払いがほぼ確実に行われる
為替手形は、自己受為替手形の形態をとることができます。
これにより、振出人と受取人が同一であり、支払いがほぼ確実に行われるメリットがあります。

例えば、支払人が当座預金を持っておらず約束手形を振り出せない場合や、売掛金の回収が遅れている場合でも、為替手形を利用すれば取り立てを確実に行うことができます。
為替手形を振り出した場合、支払いが遅れると不渡りとなり、支払いの強制力が高まります。

■支払人は支払いまでに時間的な余裕が生まれる
為替手形の支払期日は、一般的には発行日から数ヶ月後に設定されるため、支払いまでに時間的な余裕が確保されます。
この点は、支払人にとって有益な側面と言えます。

ただし、親企業が中小企業を子会社として所有している場合、繊維業に対する手形の場合は最大90日以内、その他の業種に対する手形の場合は120日以内を支払期日として設定しなければなりません。

■利息の支払いが不要
為替手形を使って現金を支払う場合は、借りたお金を返すときのように利息がかかりません。
つまり、取引に関わるコストが取引額以上にならないため、支払う人の負担が少なくなります。

為替手形のデメリット

為替手形のデメリット

為替手形のデメリットは、以下の3つがあります

■不渡手形を発生させると、企業の信用が低下します。
不渡手形を出すと企業の信用が損なわれます。不渡手形は、支払日に口座に十分な残高がなく、手形が引き落とされない状態を指します。

為替手形を使った取引で支払日に資金不足があると、受取人に現金が支払われず、不渡手形になります。
これにより、企業は資金管理が不十分なものとみなされ、信用度が下がる可能性があります。

さらに、不渡手形が6ヶ月以内に2回起きると、企業は取引停止処分を受ける可能性があります。その結果、2年間の間、取引や融資ができなくなり、事実上の倒産と考えられています。

■手形の受け取りをしても現金化できない場合もある
手形を受け取っても、支払人の口座にお金がなければ受け取れません。
支払人の口座に残高が不足している場合、手形を現金化することができず、不渡りとなります。

したがって、支払日に現金が確実に支払われると仮定して資金計画を立てていると、支払いが行われなかった場合に資金不足に陥る可能性があります。受取人はこのリスクを考慮し、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。
また、為替手形は有価証券であり、現金と同じように使用できるものではありませんので、ご注意ください。

■受取日よりも前に現金を手に入れる場合、利子と手数料がかかります。
指定された受取日よりも前に現金を受け取る場合、利子と手数料が発生します。
このため、受取人は実際に受け取る額が減ることになります。

また、手形割引という制度を利用すれば、銀行などの金融機関が手形を早期に買い取ってくれます。ただし、この場合も支払日までの残存日数や金融機関によって、金利や手数料がかかります。

為替手形の仕訳の例

為替手形の仕訳の例

為替手形を使った取引において、仕訳は手形の発行時と支払時に分けて行います。
また、振出人(売り手)、受取人(買い手)、支払人(振出人の立場)それぞれの立場に応じて、仕訳方法が異なります。

約束手形とは異なり、為替手形を利用した取引では3者間の取引が行われるため、振出人が支払人と同じであるとは限りません。この点が為替手形の特徴になります。ではどのよう取引になるのか、以下は為替手形取引の仕組みを例として説明します。
今回は10万円の為替手形の取引のやり取りについて説明します。

振出人(売り手)の場合
為替手形の振出人(売り手)は、手形を発行した時点で買掛金と売掛金を相殺することができます。仕訳は振出時のみ行われます。

借方貸方
買掛金100,000円売掛金100,000円

■受取人(買い手)の場合
受取人(買い手)は、為替手形を受け取った時と支払いを受けた時に仕訳を行います。
受取人(買い手)は振出人に対する売掛金を、為替手形を受け取った時点で相殺します。この際、勘定科目は「受取手形」を使用します。

(為替手形の受け取りをした時)

借方貸方
受取手形100,000円売掛金100,000円

(代金の受け取りをした時)

借方貸方
当座預金100,000円受取手形100,000円

■支払人(振出人の立場)の場合
支払人は、為替手形を受け入れた時と支払いを行った時に仕訳を行います。
そして、為替手形を受け取った時点で、発行者に対する買掛金を相殺します。この取引において、”支払手形”という勘定科目が使用されます。

(為替手形を受け入れる際)

借方貸方
買掛金100,000円支払手形100,000円

(代金のお支払いをする際)

借方貸方
支払手形100,000円当座預金100,000円

【まとめ】為替手形とは?仕組みや利用方法、メリット・デメリットをわかりやすくご紹介!

為替手形は国内外の取引で利用される重要な金融手段です。
この記事では、為替手形の概要や特徴、利用方法、メリット、デメリットについて詳しく解説しました。

為替手形は、企業が買掛金を消し込み、売掛金を受け取るための重要な金融手段です。
仕訳は受取時と支払時に行われ、取引の拡大や支払いの柔軟性を提供します。利息の支払いが不要である一方、不渡りや現金化の難しさといったデメリットもあります。上手に利用して、適切な取引計画と資金管理をしていきたいですね。

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