ホワイト国とは?該当国の一覧や除外事例、輸出管理について解説

海外製の新型スマートフォン、国外では流通してるのになんで日本ではまだ未発売なの?
このような身近な事例にも、実は製品の輸出入に関わる貿易管理制度が関わっているケースがあります。
特に、製品を海外に“出す側”の企業にとっては、輸出先の国が”ホワイト国”かどうかで、必要な手続きや審査の負担が大きく変わります。
本稿では、このホワイト国の定義をはじめ、近年の政令改訂、貿易管理システムでの業務管理などを解説していきます。
ホワイト国とは?
輸出管理における「ホワイト国」とは、経済産業省が規定する安全保障上の観点から輸出管理を緩和している国々を指します。
簡単に言えば、軍事転用の恐れがある物資をむやみに横流ししない国と日本政府が判定したものですね。
現在では「グループA」と呼ばれており、アメリカ・英国・フランス・ドイツなど欧米諸国を中心に次のような条件を満たす国々が該当します。
● 国際的な輸出管理の仕組みに参加している(ワッセナー・アレンジメントなどの国際輸出管理レジーム)
● 安全保障の面で適切な体制が整っている(国内法の整備や企業レベルでの適切な管理体制の運用)

これらの国々には、「キャッチオール規制」(すべての物が対象になる厳しい審査)の対象外となるため、輸出手続きがシンプルになり、手間が減るメリットがあります。
例えば、輸出許可について見てみると、該当国は「一般包括許可」、非該当国に対しては「特別一般包括許可」または「特定包括許可」という仕組みが取られています。
ホワイト国の該当国の一覧と除外事例
●ホワイト国(グループA)の該当国
2025年現在、ホワイト国(グループA)に分類される国は27カ国あります。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの欧米諸国に加え、一時期除外されていた韓国も2023年に復帰しました。

2019年に韓国を除外する発表で、初めて“ホワイト国”という単語を知った方も多いのではないでしょうか。
当時は、同国の輸出管理制度の運用が不十分と判断されたことから、除外となったケースです。もともと韓国は2003年までがホワイト国非該当であり、2004年~2019年の間認定されていたものが元に戻った、と述べるのが正確ですね。
定期的に経済産業省のチェックがあり、それを満たす国が認定を受けているということです。
●該当しない“一般国”
一方で、中国やタイなどは一般国と呼ばれる区分に該当し、輸出時には用途や最終需要者の確認が求められます。一般国区分はグループAとは異なり、前述したキャッチオール規制の対象となります。
もし輸出品が規制非該当の品と判定された場合であっても、該非判定(輸出する「貨物」「技術」がリスト規制に該当しているかどうかのチェック)や取引審査(用途/需要者などの確認)は必須項目にあたります。
●“国連武器禁輸国・地域“という区分
なお我が国の輸出管理では、グループAと一般国以外に“国連武器禁輸国・地域“という区分を設けています。名称の通り、国連が選定した特定国については経済産業省の事前許可が必要となります。
該当国はアフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダンの10か国です。

そして、各区分の差異を表形式でまとめたものがこちらです。

2025年の輸出貿易管理令改正について
重要・新興技術の軍事転用防止を主目的とし、2025年5月に施行された改正では、金属積層造形装置や極低温冷却装置などが新たに規制対象に追加されました。
また、同年10月には補完的輸出規制が強化され、ホワイト国経由の迂回輸出にも対応する制度が導入される予定です。
これらを踏まえ、企業はHSコード管理や用途確認の精度をさらに高める必要がでてきたといえるでしょう。
「外国為替令等の一部を改正する政令」が閣議決定されました (METI/経済産業省)
システムによるホワイト国・キャッチオール規制の管理
輸出者がこうした制度改正に対応するには、担当者単位でのミクロな運用ですとどうしても限界がでてきます。
例えば、輸出先ごとに覚える・Excelなどで表を作り都度確認する・・・
といった方法は、確かに手軽かつローコストではありますが、ミスの温床でもあり、何より属人化の促進に繋がってしまいます。
これらの対策として、業務改善にシステムを取り入れることは非常に効果的といえます。
経済産業省がIT導入補助金事業を主催しているように、政府としても後押しする姿勢という点もおすすめの一因です。
貿易管理システムによってUIは異なりますが、販売先ごとのホワイト国設定や、商品ごとにリスト規制やキャッチオール規制の指定といったマスター登録が可能なものも存在します。
下記は、貿易管理システム「TRADING」のシステム画面です。

いずれもリストボックスで販売先/商品ごとに選択するだけのシンプルな操作で、ホワイト国やリスト規制・キャッチオール規制のステータスを設定することが可能となっています。
上記のような機能を持つシステムの導入は、ヒューマンエラーの予防のみならず、効率改善やブラックボックス化防止といった貿易DXの第一歩として、非常に有益なソリューションとなりうるでしょう。
輸出管理書類の効率化をお考えの方は、ぜひご検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ
●ホワイト国の定義とは?
→ 日本政府(経済産業省)が国際的な枠組み参加や国内の管理体制を条件に認定する、輸出管理の緩和対象とした国々を指す
→ 昨今では“グループA”の呼称で運用されている
●該当国の一覧および除外事例
→ 該当国はアメリカ・英国・フランス・ドイツなどの欧米諸国を中心に27か国(2025年現在)
→韓国は一時除外されたが、輸出管理の再整備などが確認され2023年に復帰している
●2025年の輸出貿易管理令改正について
→ 軍事転用防止の観点から積層造形装置等が新規制対象に追加
→ 迂回輸出防止策も強化される見込み
●輸出管理とシステムの連携によるシナジー
→ 制度対応の属人化を防ぐには、貿易管理システムの導入が有効
→ ヒューマンエラーの防止や業務効率化に大きな効果を発揮するものも
この記事を書いた株式会社サンプランソフトは、30年間一貫して貿易システムに特化してきたシステムベンダーです。
貿易管理システム「TRADING」は、輸出入と国内の在庫販売から輸出・輸入に特化した業務まで管理ができます。
外貨建ての債権債務管理や輸出書類の作成、輸入諸掛を加味した原価管理などでお悩みの方は、ぜひ製品ページをご覧ください。
著者:株式会社サンプランソフト
1994年の設立以来、一貫して貿易システムの開発・提供に取り組んでいます。
弊社が提供する貿易管理システム『TRADING』は、輸出入・輸出・輸入・国内販売管理に関わる業務を一元管理し、
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これまでにのべ2,000社以上の導入経験から得たノウハウを活かし、お